オハイオ州ではアクセンチュアの支援のもと、リスクの高い母親に関する360度ビューをわずか3カ月で構築しました。
膨大なプロジェクトデータセットによる機械学習のためにデータサイエンティストを集めて、同州のすべての関係機関における約25万人の母親についての優先付けリストを作成し、ケースごとにリスクのポイントを付与することで階層化し、対象を絞って医療介入を実施しました。
分析チームは、母子に影響を及ぼす健康リスクの要因をコミュニティレベルに至るまで特定し、健康面、社会面、行動面から必要な情報を参照できるパフォーマンスビューを開発しました。医療サービス現場のスタッフは、ポータルサイトを通じて、次のような実用的な情報が提供されます。
- 家庭訪問実施機関のスコアカード:エビデンスに基づく家庭訪問の成果とオハイオ州全体のパフォーマンスを改善するための主要指標を追跡できるインタラクティブなスコアカード
- 州健康評価:人口統計特性、主な死因、集団特性的健康情報、医療費支出、医療制度、医療へのアクセス状況、公衆衛生と疾病予防、社会的および経済的環境、物理的環境に関する州、郡、国の200を超える指標を俯瞰できる評価情報
- 産婦特性:オハイオ州全域における分娩の結果と特性の指標をコミュニティレベルで追跡できる特性情報
現在、オハイオ州では乳児死亡率の改善に最前線で取り組む現場スタッフが、こうしたインサイトを利用できます。データを活用することで、学習用コミュニティの構築や、ベストプラクティスの開発および改良、プログラム全体にわたる具体的な改善を促進し、市民に優れたサービスを提供できるという好循環を実現しています。
同州は分析結果に基づく医療行為プロトコルを作成しており、データにより特定されたプロセスの障壁を取り除いて、エビデンスに基づいたプログラムの策定を積極的に採用しています。このプロトコルでは、オハイオ州の乳児にとって三大リスク要因である、「未熟児の保護」「安全な睡眠環境の確保」「薬物およびニコチンの曝露の緩和」に重点を置いています。このプロトコルの策定には、地域レベルで課題を理解し効果的な医療サービスを提供できるように同州が支援を行っている、ヘルスケア提供者、家庭訪問スタッフ、コミュニティ組織、州機関スタッフなど多くの関係者が参画し、人間中心設計(利用者の立場や感情を理解し、価値共創によるデザインを通じて課題を解決するためのメソッド)のアプローチが採用されています。
オハイオ州では、高度な分析ツールと人間中心のアプローチに支えられた、様々な分野を横断したコラボレーションの威力と効果を重視しています。ビッグデータと大胆な取り組みを組み合わせたことで、同州は乳児と家族の健康の向上を実現し、非常に優れた成果をあげています。