ソーシャルコマースが成熟していない欧米市場のブランドやプラットフォームは、このような機能を優先させる前に、基本的なことを正しく理解することが必要です。
他の成熟した市場、特にアジアでは、既にソーシャルコマースの機能と購買活動が、消費者の日常生活にシームレスに溶け込んでいます。その結果として、ソーシャルコマースが発展することは明らかです。
一部の市場で先行
例えば、中国では、ソーシャル・ショッピングはさまざまな方法で実現できます。消費者は、友人とチャットしながらWeChatの公式アカウントから直接商品を購入することもできますし、友人のソーシャルサークルで広告を出したブランドのWeChatやAlipayの「ミニプログラム」から購入することもできます。エンターテインメントとショッピングが完全に統合されているのです。Taobao Liveでライブストリームを視聴している中国の消費者は、直接商品をカートに入れ、購入することができます。あるいは、友人の勧めに従って、Pinduoduoで商品を割引価格で購入するためのグループに参加することもできます。
ソーシャルコマースは中国市場において先行していますが、その他の市場では、ブランドやプラットフォームが未だ完全には統合されておらず適切な顧客体験を提供できていないのが実態です。ソーシャルコマースを強く望む消費者のためにも、こうした課題を乗り越えていく必要があります。
非公式な回避策はあるが…
このような課題の非公式な解決方法として、ブラジルのある買い物客の一例が挙げられます。彼女は、地元の衣料品店のインスタグラム・ストーリーを見て、気に入った商品のスクリーンショットをWhatsAppで店に送り、Pix上で店に支払うためのリンクを受け取ったと言います。
このような工夫は、ソーシャルコマースとも呼べますが、シームレスなショッピング体験であるとは言い難いでしょう。真のシームレスな体験がもたらす可能性を想像してみましょう。
画一的なアプローチでは成功できない
ソーシャルコマースがその可能性を最大限に発揮できるように進化するために、すべてのところで、同じ道をたどるわけではありません。アクセンチュアの調査によると、チェックアウト体験の質やセキュリティといった基本的な要素はすべての消費者にとって重要ですが、その嗜好は市場によってさまざまです。つまり、成功するために必要なことは、地域によって異なるということです。
様々な要因が絡み合って、そのすべてがソーシャルコマースのスタイルに影響を与えているのです(下図参照)。これらのファクターには、ソーシャルコマースに慣れていることはもちろん、市場のモバイルファーストの程度や消費者のショッピング行動、メッセンジャーアプリのエコシステムの有無、経済状況などその他多くの要素が含まれます。