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テクノロジーの最新トレンド : 経営の舵取り/意思決定に対するテクノロジーの貢献
所要時間:約3分
2023/01/12
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所要時間:約3分
2023/01/12
テクノロジーコンサルティング本部の富田です。私は長年業務改革・システム導入を数多く手がけてきました。最近経営の舵取りや意思決定に関するIT改革のプロジェクトが急速に増えてきているので、その背景や取り組みについてご紹介します。
これまでIT投資が行われてきた領域は、基幹システムをはじめとする実行系業務でした。ERPを代表とするパッケージシステムを導入する際に業務を標準化し、システムで大量のデータを正しく効率的に処理することができるようになりました。ERPで処理したデータを溜め込みBIツールで可視化している企業も多くなっています。
しかし、経営の舵取りや意思決定を行うといった計画系業務についてのIT投資は進みませんでした。計画系業務の特性は"不確実な将来についての計画をつくる"ことです。経営者の要求に基づき様々なWhat if シミュレーションを繰り返し、それを(過去実績ではなく)計画の数字として作りこんでいくことが求められます。しかしこれは業種・業態や会社による要件の独自性が非常に高いため、業務プロセスを標準化することが難しく、また、これまでシステム化が困難であったため、経営者が意思決定を行うためのシミュレーション数字の作成はExcelワークで対応せざるを得ませんでした。
前述の通り計画系はシステム化が困難な領域と考えられてきましたが、近年のテクノロジーの進化によりその壁を超えることができるようになってきました。進化のキーワードは、柔軟性とアジャイルです。
柔軟性:経営の舵取りや意思決定を行うために必要となるシステム要件の特徴としては、複数のパラメータ(為替レートや原材料価格、燃料価格など)や前提となるマスタデータ(製品・価格マスタや組織マスタなど)の値をユーザーが自由に変更できること、それを複数シナリオで保持して比較分析できることが求められます。これはクラウド上に、ユーザーがパラメータ・マスタデータを自由に触れる環境を構築して実行系とは疎結合で連動させ、その上に高速計算を行うエンジンを搭載して複数シナリオシミュレーションを同時に実行することで実現できるようになってきました。
アジャイル:環境の変化により、実施したいWhat ifシミュレーションは変化していくため、システムも環境変化に追随できることが求められます。これはロジックや機能の変更をクイックに反映して機能拡張ができるクラウドプラットフォームを採用することで実現できるようになってきました。クラウド上にあるため、必要なデータベース、メモリやディスク容量の増強などを意識する必要もありません。
サステナビリティ、特に温室効果ガス削減についてはどの企業でもホットトピックになっていると思います。しかし年に一度の統合報告書作成のタイミングに合わせて排出量を収集・集計し、排出量削減目標の公開まではするものの、排出量削減に向けた施策への落とし込みとそのPDCAサイクルを回すところまで実現できている企業は非常に少ないと感じています。
削減目標を本気で実現するためには、経営の舵取り・意思決定プロセスに温室効果ガスのシミュレーションを組み込む必要があります。計画立案・見直し検討の際のWhat ifシミュレーションに温室効果ガスを加えることで、場合によっては利益をある程度減らしてでも温室効果ガスを大きく削減するといった意思決定を支援できる仕組みが必要になります。
アクセンチュアでは、このような温室効果ガス削減のシミュレーションを行うためのテンプレートを、Anaplanというプラットフォーム上で開発しました(詳細はこちら)。温室効果ガス削減のためのシミュレーション要件は業界や企業により大きく異なるため、このテンプレートは柔軟に機能拡張ができる点が最大の特徴になっています。ご興味を持たれた方は、是非お問い合わせください。
問い合わせ先:anaplan.coe@accenture.com