エアバス：よりスマートなものづくりのための共創

課題―求める変化

個品単位での厳格なトレーサビリティの担保が求められる航空機組立ての現場で働く技術者にとっても、主要部品がいつどこに取り付けられたかを手作業で記録することは、非常に困難であることは誰にとっても想像に難くないでしょう。航空機が航空法の基準で製造されていることを保証するために、各工程で厳格な検査を実施しなければなりません。

では、同じプロセスを人工知能（AI）主導のソリューションが動画の分析を通じて実行できるとしたらどうでしょう。人的ミスの入り込む余地を排除しながら、自動的かつ正確にトレーサビリティを担保することができます。大手航空機メーカーのエアバス社にとって、これは理想的な業務のあり方なのです。

同社は、最新技術を活用して組立て工程を強化する新しい方法を常に模索しており、その一環として、アクセンチュア深圳イノベーション・ハブを拠点とするアクセンチュア・ラボと協力し、エアバス中国イノベーション・センター（ACIC）は、AIを活用したスマートな業務変革を進めています。概念検証として、同社は航空機の最終組み立ての再構築に焦点を当てました。従来、組み立て工程は、手作業による入力と人間の判断に頼っていたため、非常に時間と労力を要していました。

取り組み―技術と人間の創意工夫

両社のイノベーションセンターからなるプロジェクトチームが蘇生されました。ACICからは、データや組立工程のデータ収集プロセス、発生しうる問題や解決策などを熟知した業界スペシャリストが、一方のアクセンチュア・ラボからは、AIとコンピューター・ビジョンの専門家が集められ、100万を超えるシーンの解釈を迅速に行うＡＩの開発がスタートしました。

チームはアジャイル開発アプローチをとりながら、AIの効率的な開発やモデルのトレーニングとテスト、脆弱性の特定を行い、正確かつ一貫した作業を繰り返しました。

このAIは、動画を自動的に解析し、航空機の最終組み立てにおける製品のの問題を自動的に検出します。各組立て工程でこのAIは動きによって組立て工程がの完了を検知し、自動的に検査を開始します。例えば、主翼が取り付けられると、それの時間が自動的に記録され、最終検査を始めます。さらに、このAIは画像や動画を自動で仕分けることもでき、航空機の大型部品の適切な取り付けやより正確な位置決めを可能にします。このような自動化されたプロセスにより、エアバスの従業員は組立作業などの現状人にしかできない作業に集中することができるのです。

成果―創出された価値

アジャイル・アプローチをとることで、あらゆる課題に正面から立ち向かうことができました。例えば、動画の1コマごとの動作の意味を手作業でタグ付けしました。。これにより、動画の分析を1コマずつするのではなく、動画として扱うことができました。これにより、1分間に数百枚しか扱えなかった所を1分間に数百万枚まで高速化することができたのです。結果としてAIに学ばせるデータの量が増え、よりスマートで効果的なプロセス構築に繋げられたのです。

AIとコンピューター・ビジョンの組み合わせは、作業の効率と精度の両方を向上させます。動画解析で航空機の目視検査の主要な組み立て工程をシステムが自動的かつ正確に記録し、人的ミスのリスクを排除することができるのです。その結果、品質と安全を担保・向上させたうえでなおも組立て工程における大幅なコスト削減にも繋げられました。