調査レポート
2025年 グローバル銀行業界向け消費者調査
M&Aに頼らない持続的成長(オーガニックグロース)を実現するには、顧客との深い信頼関係(顧客推奨の構築)が欠かせません。
3分(読了目安時間)
2025/03/17
調査レポート
M&Aに頼らない持続的成長(オーガニックグロース)を実現するには、顧客との深い信頼関係(顧客推奨の構築)が欠かせません。
3分(読了目安時間)
2025/03/17
銀行サービスはデジタル化によって便利になる一方で、個々の対応が希薄になり、顧客とのやりとりは取引中心になりがちです。さらに、銀行間の差別化が難しいことから、多くの顧客は従来のメインバングにこだわらず、複数の金融機関を使い分けています。いま銀行には、競争力を維持するために、こうした取引中心の関係を超えて、顧客の信頼を深める“推奨”の構築が求められています。
73%
メインバンクに加えて、複数の銀行と取引している顧客の割合
58%
過去12ヶ月以内に、新しい金融機関から金融サービスや商品を購入した人の割合
33%
デジタルバンクと関係を持つ顧客の割合
顧客推奨は、ロイヤルティを超え、収益成長と企業価値の向上を支える強力な推進力です。顧客が「自分は理解され、大切にされている」と実感できる銀行は、長期的な信頼関係を築くことができます。顧客推奨者となった顧客は、その信頼を周囲に伝え、銀行の価値と評判を広げていきます。その結果、顧客エンゲージメントが深化し、金融商品・サービスの利用が広がることで、銀行全体の業績向上へと繋がります。
1.7倍
推奨スコア上位20%の銀行は、収益成長が1.7倍速く、北米ではその成長率はさらに高く、2.6倍に達しています。
5-30%
顧客推奨を持つ顧客は、平均してメインバンクで17%多くの金融商品を保有し、ウォレットシェアが5~30%増加します。(※ウォレットシェア:顧客がメインバンクに預ける資産や利用金融商品の割合)
デジタル化が進む中で、銀行業界ではどのようにして顧客推奨を推進できるのでしょうか? 今回の調査では、信頼、パーソナライゼーション、顧客サービス、そして差別化された魅力的な価値提供が推奨の獲得に不可欠であることが明らかになりました。しかし、これらを十分に提供できている銀行は少なく、顧客離れを招いています。
本レポートでは、顧客の期待を超える体験を通じて、「満足しているだけの顧客」を「銀行を他者に推薦する推奨者」へと導くための、4つの重要な要素をご紹介します。
AIは、顧客体験のパーソナライズと効率的な規模拡大を実現することで、銀行が顧客推奨を築く上で重要な役割を果たします。これは、かつて行員が顧客との深い関係を築いていたのと同じようなものです。すべての推奨要素に均等に投資することは現実的ではありません。そのため、短期的な成果と長期的な投資のバランスを取ることが課題となります。優先すべき領域を明確にすることが鍵となり、AIはこのプロセスを加速する可能性を秘めています。
競争が激化する現代において、顧客推奨は、単なる関係の再構築ではありません。それは、信頼を新たに築き直し、より強固な絆へと深化させる取り組みです。顧客一人ひとりへの深い理解と誠実な対応を通じて、持続的な成長を実現する戦略的アプローチとなります。今こそ銀行は、顧客との信頼に基づく関係性をいかに構築し、維持し、そして「満足している顧客」を「真の顧客推奨者」へと転換していくのかを、再定義する必要があります。
今回の調査では、世界約160行の銀行を対象に、顧客推奨、パーソナライゼーション、デジタルトランスフォーメーションに関する詳細なデータを収集し、銀行業界における重要なトレンドを分析しました。当社のインサイトは、貴行がデータから価値を創出し、持続的な成長と変革を遂げるための戦略的な指針となるものです。
さらに深い分析や個別のご相談をご希望の際は、ぜひお問い合わせください。アクセンチュアは、お客様の未来をとも考えるパートナーとして、変革の実現をサポートいたします。