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英語に自信のなかった私がグローバルプロジェクトをリードしてみて気付いたこと

こんにちは。アクセンチュア ソングでデザイナーとして働くSaoriです。クライアントの課題を解決するために生活者のニーズや行動を調査し、そのインサイトをもとに新しい製品やサービスを創造する仕事をしています。 この記事では、私がデザイナーとして初めてグローバルプロジェクトを経験したときに直面したチャレンジと、それをどのように乗り越えたかをご紹介します。

2024/06/06

英語への自信をなくしていた頃に舞い込んだ、グローバルプロジェクトの機会

私は大学時代に外国語文学を専攻し、学外でも英会話スクールに通うなど、言語学習が好きでした。将来は外国語のスキルを生かした仕事をしたいと思っていましたし、アクセンチュアに入社したのもそうした機会が多いのではという期待が理由の一つでした。

実際、英語を使う機会は入社して間もなくやってきました。海外の拠点から日本に転勤してくるメンバーや、多様性ある環境に共感して入社してくる日本国籍でないメンバーが増え、プロジェクトに限らず日々飛び交う会話の中に自然と英語が増えました。
しかし、私がいざそのような環境に身を置いて抱いたのは、楽しさよりももどかしさと劣等感でした。あれほど学んだはずの英語が実践では通用しない事実に直面し、私よりもはるかに上手く英語を話す他のメンバーを見て、英語に対する自信がしぼんでいきました。 

そのため、上司からグローバルプロジェクトのリードをしてみる意欲はあるかと打診されたとき、即答することができませんでした。プロジェクトの内容は、海外に拠点を置くクライアント企業が日本でサービスを展開するにあたり、日本の生活者のニーズや価値観を調査し、あるべきサービスのデザインを支援するものでした。クライアントの経営層と密にコミュニケーションを取る必要があり、また英語ネイティブである彼らに合わせて英語を使うことが求められました。正直自信がなく、私以外に適任者がいるのではないか、失敗したらどうしようなど色々なことを考えました。それでも、この機会にチャレンジすればきっと自分の成長につながる、辞退すればきっと後悔するとも思いました。そして何より、プロジェクトに対するワクワクした気持ちが自分の中にあったことから、挑戦することを決めました。 

思い切って飛び込んだプロジェクトで直面した課題

不安はあったものの、学生の頃から言語学習が好きだった自分なら、事前にしっかり準備をして学習を続ければ、その努力は実り、次第に不安は払拭されていくだろうと期待してもいました。ところが、プロジェクトが始まってすぐに、私は英語でのコミュニケーションを日常的に行うことが想像以上に負荷の高いものだと気づきました。

第一に、クライアントの言っていることを理解するというスタート地点でつまずきました。ごく簡単な挨拶や導入も聞き取れない、クライアントが気を利かせて言ってくれるジョークに笑えない、発言を何度も聞き返してしまうといったことの連続でした。最初の頃は英語の堪能な上司にフォローしてもらいつつ、冷や汗をかきながらなんとか会議を乗り切っていました。日本語の会議の何倍も集中力を要するため会議が終わった後はいつもヘトヘトで、それに加えて会議の内容を正しく理解できているかを確かめるために録画や議事録を見直すのに会議と同じくらいの時間がかかっていました。

また、プロジェクトメンバー間での言語スキルや理解度の違いも大きなチャレンジでした。私のチームには、日本語と英語のバイリンガル、英語ネイティブで日本語はまだあまり自信がない人、その逆の人など様々なバックグラウンドのメンバーが参加していたため、同じ会議に出ていても理解度に差がありました。私はリードとして正しい情報をメンバーに伝えなければと努力しましたが、それでも曖昧な理解でメンバーを不安にさせてしまったり、情報の格差を生んでしまったりすることがありました。

このような課題に毎日のように直面し、正直心が折れそうになりました。普段の自分なら当たり前にできるコミュニケーションや論点整理ができない、他の人は分かっていることが自分には分からないということがこんなにつらいことなのだと痛感しました。 

課題に立ち向かっているようで、的外れだった対策

こうした状況を打破するため、もちろん毎日英語の勉強を続けていました。様々な方法がある中でも、高校時代に愛用していた英単語帳のフレーズを暗記できるまで音読するという方法が私には合っていて、日々着実に自分の英語力が伸びていくのを感じました。

しかし、その成長は、クライアントとの日々のコミュニケーションを劇的に変えるようなものではありませんでした。今までの不格好な表現が少しスマートに変わったり、言いたいことを英語にするまでの時間が1,2秒短くなったりはしたかもしれませんが、それが議論やアウトプットの質を上げているかといえばそんなことはなく、何のために勉強しているのだろうと思うようになりました。

考えてみれば、普段のプロジェクトデリバリーであれば、常に目的意識を持ち、その目的の達成のためにコミュニケーションを設計していくのに、いつしか上手く英語を話すこと・聞くことに固執してしまっている自分がいました。また、その根底には、自分ひとりですべて理解しないといけない、リードである自分は誰よりも分かってないといけないという、こだわりやプライドのようなものがあることにも気づきました。
もちろん個人の成長のために自主学習はとても大切ですが、限られたプロジェクト期間でクライアントに価値をもたらすという目的のためには、他にももっとできることがあると気付きました。

たどり着いた、シンプルな解決策

私はチームにもっと頼ることにしました。

例えば、会議の議事録は英語の得意なメンバーに任せ、FigmaやMiroなど複数名で同時編集できるツールを使って更新箇所がリアルタイムで見えるようにすることで、クライアントの発言を正しく理解できているか、議論が正しい方向に向かっているかを逐一確認できるようになりました。また、デザインの解説など専門的な内容をプレゼンする場合には、担当したデザイナーに意図やポイントをあらかじめスクリプト化してもらい、それを英語が得意なメンバーが代理でプレゼンするなど、メンバーそれぞれの得意なところを組み合わせ、チームで力を合わせて質を高める工夫をしました。
また、最初の頃は自分ひとりで行っていた会議の復習を、メンバー全員で行うようにしました。その場では、会議の結論やネクストアクションだけでなく、冒頭からの一連の流れを丁寧に確認するようにしました。私自身がよく分からなかったことを正直に打ち明けることで、メンバーからも質問が増えたり、お互いが理解したことを意見交換したり、チーム全体の会話が活発になりました。

こうしたことを通じて私が強く感じたことは、コミュニケーションで最も大切なことは相互理解であり、言語はあくまで手段の一つでしかないということです。私が当初のまま、自分ひとりで英語を理解しようとこだわっていたら、たとえ英語は上手くなってもクライアントと本質的な議論ができなかったかもしれませんし、高い専門性を持つメンバーが輝く機会を「英語が苦手」という理由で奪っていたかもしれません。よく「言語の壁」と言われますが、これが例えば「言語の山」でないのは、そこが目的地ではなく、あくまでその向こう側にもっと重要なことがあるからだと思います。その壁を越えた先で、相手は何を考えているのかに思いをめぐらせることこそ重要だと学びました。 
結果として、このプロジェクトではクライアントからの信頼を獲得し、我々のデザインやアイデアに満足してもらうことができました。また、様々な課題をチームで乗り越えたこの経験は、今後も様々なプロジェクトに挑戦する勇気を私に与えてくれました。上司に打診されたあのとき、この機会にチャレンジすることを選んで本当によかったと思います。 

アクセンチュア・ソングでデザイナーとして働くSaoriです。
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