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アクセンチュア現役社員が伝授!「PowerPointスライド作成の秘訣」
2021/03/08
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2021/03/08
こんにちは。ビジネス コンサルティング本部の財務・経営管理コンサルタントとして働く、シニア・マネジャーのTomoakiです。今回は「PowerPoint(パワーポイント)作成の秘訣」というテーマで寄稿します。スライドの作成方法は人によって様々ですので、今回は一例として読んでいただけると嬉しいです。
「コンサルと言えば恰好良いスライド!」という印象を持たれる方が大多数かと思いますが、そもそもなぜ我々はスライドというものにこれほど情熱を注ぐのでしょうか?
綺麗なスライドを作成する話をする前に、まずはスライド作成の意味・目的からスタートしていきたいと思います。
アクセンチュアに転職してはや12年。入社当時はほとんどPowerPointというアプリケーションに触ったこともない私なりに「スライドとは何か」を考えてみた結果を一言で表現するなら「スライド=コミュニケーションツール」ということです。
自己満足で作るスライドならいざ知らず、我々が作成するスライドには必ず「読み手」が存在します。読み手が存在するということは、そこに何かしらの「メッセージ・伝えたいこと」があるはずです
(伝えたいこともないのに趣味でスライドを作成する人がいるかもしれませんが・・・)。
更に一歩進んで「メッセージ・伝えたいこと」を分解すると以下の4つに収斂されると思います。つまり、以下の4つをスライドで表現し、読み手に伝えることがスライドの目的・意味になるのではないかと、私はそう考えています。
経理領域の架空のプロジェクトを例として挙げると、上記4つのメッセージは以下のようになります。
スライドを作成するそもそもなぜ・何のためにスライドを作成するのか、を強く意識しないと、いつの間にかスライド作成の意味・目的を見失い、スライド作成そのものが目的化してしまう懸念があります。
(自分の上司にレビュー依頼した際に「・・・で、何が言いたいの?」)
私が十数年心掛けているのは、スライドを作る前に必ず5mm方眼にそのスライドで伝えたいメッセージ、それを表現するためのコンテンツ等を細かく下書きするということです。PowerPointでスライドを作るのはあくまで「作業」であり、大切なのはスライドを作り始めるまでの「考える時間」です。
もし、スライドで上手く伝えたいことを表現できない、という悩みを持っている方がいれば、それはスライドを作成する前準備(=考え抜くこと)が足りていないからだと思います。
スライドはお客様に何かを伝えるためのコミュニケーションツール、だから伝えたいことを凝縮して、分かり易く表現するスキルが重要になってきます。次に分かり易く、美しいスライドを作成するための作法についてお話したいと思います。
分かり易い、見易いスライドを作成するコツは2つあります。それは「シンプルさを追求すること」と「ビジュアル(=見た目)にこだわること」で」す。
同じコンサルタント同士で話していると、「コンテンツさえしっかりしていれば見た目なんて気にする必要はない、時間をかけるだけ無駄」と考えている人も一定数います。それは本当に正しいでしょうか?
提案書なり、調査報告書等、我々コンサルタントが作るスライドは、言ってみれば「商品」そのものだと私は考えています。だから内容は当然のこと、その見た目の美しさ・分かり易さにもこだわり抜く必要があると思います。
話を戻して「シンプルさを追求すること」と「ビジュアル(=見た目)にこだわる」ということをもう少し詳しくまとめると下図のようになります。
書いてみると何てことはない内容ですね。ですが、1スライド、1スライドそれを意識して作業しているでしょうか?自分の書いたスライドを人に見せたときに納得していない、肚落ちしていないな、という感触がある場合はご自身の作ったスライドをよく見直してみるべきです。自分では分かっているつもりだけど、初見の人には何を言いたいのかちんぷんかんぷんな内容が書かれているかもしれません。また、そもそも内容に入る前にスライドの見栄えが悪く読んですらもらえないものになっているかもしれません。
もう一つ、スライド作成のお作法として覚えておいて頂きたいのはスライドそのものの構成(=コンポーネント)です。スライドは大きく以下の6つ(タイトルを入れると7つ)の構成要素で成り立っています。
最も頭をひねるのはやはり①メッセージラインです。ここに記載する内容が読み手に伝えたい一番のポイントになります。そして④ボディ。ボディはメッセージラインの内容を補足・補完する内容が記載されているべきです。膨大な業務調査をした結果を簡単なグラフで表す、経営層にヒアリングした結果をテキストで表現する、組織の構成要素をポンチ絵で表現する、等スライドの大部分を占めるのがこのボディ部分になります。ボディには色々な表現方法がありますが、「表」、「グラフ」、「概念図(イメージ図)」、「テキスト」の4つの型を覚えていれば十分でしょう。また、スライド本体に何かしらの文献からの引用や調査の前提となるデータを示しておく場合は必ず④注釈、⑤出所を記載するようにしましょう。
スライドはシンプルに作る、見た目にこだわる、必要な構成要素を漏れなく盛り込む、これを徹底的に意識してスライド作成に臨むべきでしょう。
ここまで「スライド作成の意味・目的」、「スライド作成のお作法」について話をさせて頂きました。何となくスライド作成の基本的な考え方、やり方については分かって頂けたと思います。
私自身、29歳で全くの別業界からコンサルティング業界に身を投じ、約12年程、試行錯誤しながら日々のプロジェクトワークに臨んでいます。スライド作成の経験ももちろんゼロからのスタートですが、今まで何とかなってきたのは、我々が持っているスライド作成のノウハウ(座学でのトレーニング、各種スライド作成の極意・お作法、マニュアル等)であったり、メンバーの作成したスライドをOJTとして多種多様な観点・目線でレビューしてくれるよき先輩方のおかげだと思っています。
冒頭で話をした通り、スライド=コミュニケーションツールなので、スライドを作るときにはいかに読み手のことを考えて、そこに心を砕けるかが一番大切なポイントです。アプリケーションの操作の正確性やスピードは2の次、3の次だと思います。
これからスライド作成にチャレンジされる方、すでに日常的にスライド作成されている方の少しでも役に立つ記事になっていれば幸いです。ここまで読んで頂き、どうもありがとうございました!