Nittoの「Rebornプロジェクト」はCEOのトップダウンにより、全社一丸となった体制で進められました。CFOをはじめ、各機能軸の役員や事業部門長もステアリングメンバーとして参画する組織横断の指揮系統がつくられ、大脇氏がプロジェクトオーナーに任命されました。さらにITや調達、ロジスティクス、会計などの機能別の組織からもメンバーを集めました。そこにシステム構築を主導する技術系のメンバーとして加わったのが、アクセンチュアのコンサルタントやエンジニアです。
とくに今回はホストコンピューターのEOLを控えて待ったなしの状況にあり、後戻りは決して許されず、是が非でもプロジェクトをやり遂げなくてはなりません。これを支える強い権限を持った実行力が、上述の推進体制から生み出されたのです。
こうして始動したプロジェクト体制のもとで策定された基幹システム刷新の基本構想について、プロジェクトリーダーを務めるIT本部長 中村圭氏は次のように説明します。
「Nittoが手がけているさまざまな製品に関しては、事業部門ごとに適したものづくりの方法があります。そのため、独自で設計している各事業部の生産管理システムは、基本的にはそのまま残置しました。要するに、それ以外の業務を司る基幹システムを全面的に再構築し、すべての部門にビッグバン導入するというのが『Rebornプロジェクト』の概要です」
また、今回刷新するシステムは、海外拠点にも展開することを前提としているため、グローバル標準のERPとして「SAP S/4HANA®」を選定。加えて、倉庫・輸送管理を最適化する専用パッケージシステム、複雑な業務プロセスを清流化して業務改革を支援するワークフロー、システム間のデータ統合を実現するインターフェース基盤を構築し、各事業部門の生産管理システムなどを連携させるという方針を打ち出しました。
「こうしたマルチプラットフォームのシステム間連携に対して、アクセンチュアの方々は高度な知見を提供し、われわれの取組みをサポートしてくれました」(中村氏)