カルビーが使ってきたSAPベースの旧基幹システムは、長年の間、工場ごとに異なる要求に応えるうちに、多数のアドオンを内包する複雑なものになっていました。いわば、拠点最適の業務とITです。この旧基幹システムを刷新し、SAP HANAという最新技術を導入する。このプロジェクトを推進するため、いくつかの候補の中からパートナーとして指名されたのがアクセンチュアです。アクセンチュアはこれを機に抜本的な変革、IT のスクラップ&ビルドを提案。これは、「シンプルかつ標準化された業務」を志向するカルビーの経営方針と合致するものでした。
プロジェクトの対象にはカルビーだけでなく、国内のグループ会社も含まれます。カルビーグループにおける会計や購買、在庫、販売、物流など幅広い業務領域をカバーする新基幹システム構築という大規模なプロジェクトに失敗は許されません。初期の要件定義フェーズでは、特に工場などの現場メンバーとともに、SAP ERPが保持する標準業務をベースとした新規業務の実現性や標準化の方向性を詳細に議論/検証しました。また、後半の開発フェーズでは、PDC(Philippine Delivery Center)というアクセンチュアのオフショア拠点を活用したスピーディーかつ確実な開発体制が力を発揮しました。
アクセンチュアの国内企業向けプロジェクトでは、CDC(China Delivery Center)が参画する場合が多いのですが、今回はPDCが活躍。カルビー側でプロジェクトを推進する同社IT部門や関連する2社のITベンダー関係者がそれぞれほぼ日本語のみを使用して設計・開発に当たる中、アクセンチュアではTSC(Tokyo Solution Center)がフィリピンの英語環境と日本語環境とをつないで業務を遂行しました。TSCはプロジェクト向けのHANA開発方針を策定。これにより、多くのメンバーがSAP HANAを意識せずにシステム構築することが可能になりました。新しい技術や開発体制にチャレンジした大規模プロジェクトは、スケジュール通りに完了。カルビーの将来のビジネスを支える新基幹システムは2016年1月に稼働。1年3カ月という短期間でのトランスフォーメーションが実現しました。