HR本部が全社規模DXの一環として取り組んだのは、組織のミッションの再定義や管理職の位置付けの見直し、組織の指揮系統のシンプル化、そして管理職へのジョブ型人事制度導入をはじめとした人事マネジメント改革でした(ジョブ型人事制度は管理職に導入後、段階的に適用対象を拡大する予定)。
「そうした組織体系を運用していくうえで最適なソリューションは何であるかを検討していった結果、Workday ヒューマン キャピタル マネジメント(以下、Workday HCM)に行きつきました」と首藤氏は説明します。
「あれこれカスタマイズできるツールでは私たちユーザーの改革への意思を弱らせ、結局は現状の姿に近づけてしまうのではないかという懸念がありました。また、自由度の高いソリューションはカスタム開発の安請け合いにつながり、システム間の整合性を取るために現場が混乱に陥るリスクもありました。人事マネジメントを大きく変えるというパラダイムシフトを目指す私たちにとって、設計思想やソリューションの哲学が確立されているWorkdayならば設計や運用で迷うこともないと期待しました。つまり、Workdayの思想に『便乗』することがベストプラクティスであると考えたのです」(首藤氏)
日経が目指しているのは、データを経営の意思決定に活用できる体制となること。人的資源に関するデータの一元管理によって客観的な人事戦略の実現に貢献でき、視覚的にわかりやすいインターフェースを持つWorkday HCMは日経にとって魅力的なソリューションでした。2015年から日経の傘下となっているフィナンシャル・タイムズでもWorkdayが導入されていることが強い後押しとなりました。
人材データを効率よく集め、多面的に活用するためにはシステム間のスムーズなデータ連携が不可欠です。日本経済新聞社 情報技術本部 部次長の印藤氏は「データが適切に流れていき、各システムで効果的に情報を利用できるインフラ整備がIT部門の役割です。各部門のやりたいことを負荷なく実現できる環境を、最小限のメンテナンスで効率よく運用したいと考えています」と述べます。