DISCOVER 気づき
「叔母さんと一緒に住んでいるのは友達ではなく、彼女だよ。」と、高校生だった私に母が言いました。クリスマスやお正月など家族・親戚が集まるイベントに、エレン叔母さんとともに参加するパティさん。二人は友達同士ではなくカップルであり、レズビアンである、という事実を聞いた瞬間から私はアライになりました。
家族は家族なので、ありのままで生きてほしいと思っていたものの、一方で私が生まれ住んだ地域の多くの人も、私自身も、まだLGBTIQ+の存在を認知できていませんでした。私はアメリカの田舎生まれ育ちで、幼い頃から異性愛が「普通」と言われ続け、それ以外はあまり説明してもらえていなかったからです。レズビアン、ゲイ、トランスジェンダーという言葉は聞いたことがありましたが、その意味や本人たちが抱えている苦しみや生きづらさまでは理解していませんでしたし、「女性を好きになる女性というだけなのに、なぜこんなに反対する人が多いのだろう?”女性を好きな女性”ということ以外に、何か特別なことがあるのだろうか?」と、深くは考えていませんでした。
エレン叔母さんとパティさんの性的指向を知ったことをきっかけに、「私はアライだ」とはっきり言うようになりました。それ以来、幸運なことに、2人以外の家族や親族、友達、バイト先の仲間など、身の回りにいるたくさんの人がLGBTIQ+の当事者であることを私に教えてくれるようになっていき、普段何気なく使っている言葉の裏に秘められた意味(例えば、英語の“Gay”という言葉には“ダサい”という意味合いも含まれている)や、それによってご自身の心が傷ついていることなどを、丁寧に私に教えてくれました。次第に、私もアメリカでLGBTIQ+を応援する様々なイベントや運動に参加するようになりました。
2008年、私自身はアメリカを離れて来日しましたが、アメリカではその後、同性婚が承認されるなど、LGBTIQ+の権利がどんどん回復されていきました。
LEARN 理解
「日本でもLGBTIQ+アライとして何か活動したい」という情熱はありましたが、就職活動で会社を選ぶ基準としては、アライとして活動できるかどうかは二の次でした。ですが、アクセンチュアの入社面接時に、面接官が「LGBTIQ+アライ」のストラップをつけているのを見て、プライベートな時だけではなく、会社でもアライ活動に携われるのはいいなと思いました。
前職だと、カラフルなアクセサリーはもちろん、LGBTIQ+アライのシンボルを身に着けることはNGだったので、面接中に「そのストラップを会社でつけていいんですか?」と、率直に質問したところ、その面接官は笑顔で、当然のように、「もちろん!むしろこれは、会社公認のボランティアチームであるLGBTIQ+ アライ・コミッティが着用を勧めているものですよ!」と答えてくれました。これを聞いた瞬間に、どんな背景やライフスタイルがあっても歓迎するアクセンチュアで働きたいと思いました。
GROW 成長
入社した日からLGBTIQ+の方が働きやすい環境だと実感しました。会社ポリシーの説明のなかで、男女別のドレスコードの規定はないことやパートナーシップ制度など、LGBTIQ+の社員を想定し、働きやすくなるように配慮されたポリシーがたくさんあることを知りました。全社員対象のトレーニングにはLGBTIQ+当事者が直面する困難やSOGIハラなどが含まれ、網羅的かつ包括的な内容でした。そして、その資料の中で、特にこちらのフレーズが心に残りました:
DIVERSITY IS FACT, INCLUSION IS A CHOICE
<多様性は事実であり、包摂は我が社の選択である>
この宣言通り、アクセンチュアは、様々な努力を重ねてきています。LGBTIQ+の方を含めた社員全員が働きやすい環境を創る為に、「夫」や「奥さん」ではなく、「パートナー」という言葉を使うのは当たり前ですが、アクセンチュアはそれに留まりません。社内のパートナーシップ制度を活用した場合、会社としての扱いは異性婚とほぼ同じとなり、同様の福利厚生を受けられます。トランスジェンダーの社員向けには、性別移行のサポートがあり、上司、同僚、HRが全面的にサポートします。グローバル企業として、このようなポリシーは世界中に広がっており、LGBTIQ+に関してそれぞれ異なる制度や文化的価値観を持つ国を含め、多くの国の人々を支援しています。私自身は今、日本に住んでいるゲイやレズビアン、トランスジェンダー、ノンバイナリーであることをオープンにしている人たちや、海外で育った人たち、マルチリンガルの人たち、そして他の国に住んでいるチームとも一緒に仕事をしています。アクセンチュアは、ベストを尽くす人、そして他の人が輝けるようにサポートできるすべての人を誰でも歓迎する会社です。
TOGETHER 共に
家族や友達への思いもあり、もっとLGBTIQ+に関する活動をやりたいと考え、LGBTIQ+アライ・コミッティに参加しました。私自身、上述の通り様々な経験をしてきたので、十分にサポートができると思っていましたが、新たに学ぶことがたくさんありました。勉強会やワークショップへの参加や、他のコミッティメンバーに勧められた本を読むこと等を通して、アライであるためには、虹色のストラップを身に着けるだけでなく、LGBTIQ+当事者や周りの人が言いづらい状況の中でもLGBTIQ+の人々の権利を常に肯定し、発信し続けることが重要だと気づきました。
海外の他拠点や東京周辺の拠点では対面での勉強会やイベントがたくさんありましたが、大阪は比較的新しい拠点であることもあり、「まだまだ足りていない」「もっとできることがある」と思い、自分自身で大阪拠点でのワークショップを企画・開催しました。海外にいるGlobalのI&D担当者と連携しながら、海外の新しいLGBTIQ+理解の資料を和訳し、アライになろうとする方向けのワークショップ資料を作り、当日を迎えましたが、当日参加してくれた方から、「このワークショップに参加したことで、アライとして行動しようと決意しました!ありがとうございました」という感謝の言葉を聞き、会社だけではなく、社会のためにいいことができると実感しました。
これから、大阪からもLGBTIQ+の活動をサポートし、今より行きやすい会社、社会、国にしていきたいです。理解は第一歩に過ぎない。世界が変わるまで、アライとしての活動を続けます。