今日の金融業界では、顧客や従業員の期待が利益を上回るスピードで高まっています。デジタル変革の加速を通じて人とのやり取りで提供されてきた業務をデジタルに置き換えた結果、金融機関のサービスはコモディティ化しました。そして、顧客は「信頼できる金融アドバイザー」ではなく、低コストの金融事業者を求めるようになるという危機に直面しています。
新型コロナウイルス感染症は金融業界の変化を加速させ、顧客の行動とニーズもまた急速に変わっています。パンデミック時にはデジタル取引が増加しており、50%の消費者が週に1回以上モバイル・アプリやウェブサイトを通じて金融機関とやりとりしています。この数字は2年前には32%にとどまっていました1。これに伴い、支店での取引は大幅に減少しています。
これらの変化により、消極的だった顧客や金融機関も利便性やアクセス性の高いデジタル化を受け入れざるを得なくなりました。
パンデミック発生から1年が経過した今、顧客行動が変化し、デジタル・ファーストの新しい習慣や働き方が採用され、物事がパンデミック前の状態に戻ることはないでしょう。例えば、この1年間にデジタルウォレットや現金を使わない決済方法が急速に普及したことで、決済方法のパラダイムシフトと共に将来にわたって広く利用される新しい決済方法が生まれています。
金融機関はより共感を得られるパーソナライズされた魅力的な方法で顧客にサービスを提供しなければなりません。
顧客との強いつながりと利益を維持するためには、顧客の意思・心・財布の結びつきを再構築する必要があります。そのためには、自社のパーパスや個性、製品やサービス、オペレーション、特にクレジットや決済商品にどのように反映させるかを再考することから始めましょう。