――アクセンチュアとレッドハットの両社は「アライアンスパートナーとのビジネス戦略」について、どのように考えているのでしょうか?
木田 お客様が直面している課題は年々複雑化し、取り組むべき領域も多岐にわたっています。経営者の方々のご期待とご要望にお応えするには、高い専門性を持つ企業がエコシステムを構築し、それぞれの人材や知見、ノウハウ、製品の掛け合わせでシナジーを生み出さなければならないと考えています。
そもそもアクセンチュアは特定のベンダーに偏らない「無色透明」な会社です。アライアンスパートナー企業のソリューションを迅速かつ的確に組み合わせ、各社の強みを最大化する付加価値を加えることで、お客様にベストなアセットソリューションを実現するという思想を持っています。
金古 レッドハットも自社を「キャタリスト(媒介)」と表現しています。私どもも自社IP(知的財産)としてソフトウェアを保持しているのではなく、コミュニティから誕生したアウトプットに技術者を入れて製品として磨き上げ、サポートを付属したサブスクリプションモデルでお客様へご提供しています。
レッドハットのビジネスモデルは、まさしく木田様が話されたエコシステムそのものであり、アライアンスパートナーと共に価値を創出しています。
木田 さらに私はアライアンスパートナーとのビジネス戦略のもう1つの要点として、案件単位で集合離散を繰り返す集団ではなく、日頃から密に連携することで時代のトレンドを見極め、経験の蓄積と共有を行う長期的パートナーシップになること重視しています。
レッドハットとは2009年から協業を開始して以降、2012年に戦略的アライアンスを締結して協業体制を強化してきましたが、2020年からは専属のアライアンス担当者を設置し、より協業範囲を深めていきます。両社の知見の融合によって、お客様の真のペインポイントの理解と解決に向けて、取り組みがより加速すると期待しています。
金古 はい。オープン性が求められる現代にふさわしいパートナーシップだと思います。レッドハットではここ数年、戦略として「オープンハイブリッドクラウド」を提唱しています。
この戦略は3つの柱で構成されています。第1の柱は、オンプレミスや仮想環境、プライベート/パブリックを問わず、どのような環境であってもアプリケーションを動作させる「可搬性の担保」。第2の柱は、お客様のアプリケーション資産をモダナイズし、アプリケーションのデリバリースピードを上げる「クラウドネイティブ化の促進」。第3の柱は業務の属人化の徹底解消を目指す「自動化」です。
レッドハットが提供している製品も、いうなればお客様がDXを達成されるための「部品群」であり、最終的な価値を生み出すジョイントソリューションの構成要素だと考えています。アライアンスパートナー戦略は、まさしく両社の共創的な取り組みの推進によって、End to Endかつシームレスなサービス提供の実現を目指すものです。